オンラインジャーナル

Vol.2 No.1

原著論文

RJ-02002: Vol.2 No.1 pp.19-28
重粒子線治療を受ける患者の急性放射線障害とQOLについて――前立腺がんの場合――
堤 弥生1・西沢 義子2・野戸 結花2・小倉 能理子2・山辺 英彰2・細川 洋一郎2・根里 明子1・丸山 恭子1・明石 真言3
1 放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター病院
2 弘前大学大学院保健学研究科
3 放射線医学総合研究所
キーワード:急性放射線障害、前立腺がん、QOL
目的:前立腺がん患者の重粒子線治療による急性放射線障害の症状発現時期や程度、QOL の実態とその影響要因等について明らかにする。方法:対象は重粒子線治療を行っている前立腺がん患者42名。症状およびQOLは質問紙調査法、治療方法などはカルテ調査を実施。データは、unpaired t-test、Pearsonの相関分析、反復測定分散分析を行い、多重比較はScheffe法を用いた。結果:出現率の高い症状は頻尿76%、排尿困難60%、全身倦怠感31%、皮膚炎21%、掻痒感19%で、症状の程度はほとんどがGrade1であった。照射期間中の症状スコアと終了4~6週後のQOL得点はPF、GH、RE、MHにおいて軽度から中程度の負の相関を認めた。ホルモン療法有無別では、有群のGH、MHでは終了4~6週後で弱い負の相関を認めた。無群のPFでは終了4~6週後で強い負の相関を認めた。結語:重粒子線治療中の頻尿・排尿困難は一般放射線治療と同様に出現し、照射5回目以降に増強していた。ホルモン療法の有無に関係なく、照射による身体症状が出現するとQOLが低下する傾向にあった。
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