オンラインジャーナル

Vol.10 No.2

研究報告

Vol.10 No.2 pp.21-29
被爆二世の健康に関する考えの実態
大石 紘大1, 2・浦田 秀子3・林田 直美4・新川 哲子5・永田 明6・近藤 久義7
佐藤 菜奈8・柴田 久美9・松尾 帆浪10・吉松 直樹11・高比来 ひとみ12・高村 昇13
1 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線医療科学専攻放射線・環境健康影響学分野
2 日本赤十字社長崎原爆病院
3 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科災害・被ばく医療科学共同専攻
4 長崎大学原爆後障害医療研究所放射線・環境健康影響共同研究推進センター(原研センター)共同研究推進部
5 公益財団法人長崎県看護協会
6 長崎大学生命医科学域保健学系
7 長崎大学原爆後障害研究所
8 福島県立医科大学会津医療センター
9 長崎大学病院
10 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構量子生命・医学部門放射線医学研究所被ばく医療部
11 環境省大臣官房環境保健部放射線健康管理担当参事官室
12 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線医療科学専攻アイソトープ診断治療学分野
13 長崎大学原爆後障害医療研究所国際保健医療福祉学分野
キーワード:被爆二世、健康不安、主観的健康感
被爆二世は罹患をきっかけに放射線被ばくの遺伝性影響に対する不安を生じることが報告されている。このことから、被爆二世であることが自身の健康の捉え方に影響を与えている可能性がある。本研究では長崎県の被爆二世と被爆二世ではない者の健康に関する認識の比較、および、被爆二世であることによる健康不安に関連する因子の検討を行い、被爆二世の健康に関する考えを明らかにした。被爆二世と被爆二世ではない者の間に健康への認識に統計学的な有意差はなく、【被爆地特有の原爆に由来する放射線の負のイメージ】や【被爆二世であることを特別に意識する機会が少ない環境】が影響していると考えられた。一方で被爆二世であることによる健康不安がある者はない者よりも有意に主観的健康感が低かった。また、健康不安に関する自由記述の検討から、被爆二世であることによる健康不安の出現に、「親の発癌」と「親の癌による死亡」が関連していることが明らかになった。
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