オンラインジャーナル

Vol.10 No.2

研究報告

Vol.10 No.2 pp.30-39
福島第1原子力発電所事故6年後から振り返る
放射線不安に関する親子間の差異についての質的研究
安井 清孝1・末永 カツ子1, 2
1 福島県立医科大学災害公衆衛生看護学講座
2 仙台青葉学院短期大学看護学科
キーワード:放射線不安、親子の差異、原子力災害
福島第1原子力発電所事故(以下、原発事故)は、住民に放射線不安を与えた。原発事故後、さまざまな組織が放射線不安に関する調査を行ってきたが、小児に対する調査は限定的である。本研究は、放射線災害の影響を受けた場所に暮らしていた親子それぞれの放射線不安の経年変化およびその要因の差異について示唆を得ることを目的とした。その結果、親は原発事故当初の不安がもっとも高く、以後、減少傾向があったのに対し、子では1)当初からほとんど不安を感じていない、2)当初は不安を感じていても早期に減少する、3)当初よりも後年に不安が強くなるなど複数のパターンを示した。不安の要因については、親では子に対する思いや情報の混乱が主要因になっていた。子では知識の増加や生活の変化が主要因になっていた。本研究により、放射線に対する認知について、同居する親子間でも差異が存在することが示された。
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